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2020/01/14 文化講演会&認知症について

長谷川 和夫 先生

今回は認知症相談支援・研修センター結の石川センター長のブログで告知されていた番組について書きたいと思います。

認知症研究の第一人者で長谷川式の開発者としても知られる長谷川和夫先生が、
“嗜銀顆粒性認知症”の当事者として生きる上で感じる苦悩や葛藤について番組で紹介されました。

Where are you?

Where am I?

Where is Mizuko?

これは先生ご自身が認知症になってから日記に綴った言葉の一節です。
日々の感覚があやふやになってきたことで、認知症に気付いたそう。
「生きている上での“確かさ”が少なくなってきた。」と番組冒頭で先生はおっしゃいました。

毎日が曖昧になり、予定が把握できなくなり、行き慣れていた場所に行けなくなる。
そんな“確かさ”が失われていく中で、奥様への気持ちを綴る場面がありました。


「僕の体や心のすべてに瑞子がいてくれる。朝起きて、今日は何をするんだろう。僕は今どこにいるのか。
自分自身のあり方がはっきりしない。彼女がそばにいて言葉をかわしてくれる。それで不安が薄れ、“確かさ”が戻ってくる。」

自分が今どこにいるのか曖昧になってしまう先生にとって、確かなのはいつも目の前にいる奥様の存在です。

認知症を研究し続けてきた先生自身から語られる数々の感情と、等身大の姿。そして家族の葛藤。
そんな姿を見て、私には重ねずにはいられない存在がありました。
つい先日、認知症と診断された私の祖母のことでした。

番組の放送日は、ちょうど母が九州にいる祖母に会いに帰っていた日でした。
石川センター長のブログを受け、番組を見ていた私は祖母に電話をかけました。
「もしもし、おばあちゃん?」
「れなでしょ?声ですぐに分かったよ。れなの声はずっと覚えてる。」
今までなら何気ない会話のひとつとして受け取っていた言葉ですが、祖母は私を忘れることを本当に恐れていたのかもしれません。


ひと通り話終わり祖母は涙声で言いました。
「おばあちゃんね、生きるのが辛い。」と。
つい最近まで「結婚式に出るまでは元気でいないと!」と話していた祖母からの突然の言葉に戸惑いを隠せませんでした。

続けてこんな言葉を口にしてくれました。
「いつも電話してくれてありがとう。声が聞けるだけで嬉しい。でも、本当は会いたい。」

祖母にとって“確かなもの”は共に暮らす家族、娘である私の母、そして孫の私なのです。
日常が徐々に分からなくなる恐怖と戦う祖母と時間を共有しなければ、私という“確かなもの“は祖母の目の前から消えてしまいます。
祖母にとって先生のいう“確かなもの”の一つが、私自身であることの責任を感じずにはいられませんでした。

「この人が目の前にいる、そして自分がここにいる。」
そんなひとつひとつを確認することで、曖昧な自身の“確かさ”を取り戻すのかもしれません。

番組の最後で「認知症になっての景色は、どうですか?」と取材班が尋ねます。
先生は、はっきりと答えました。
「変わらない。普通だ。前と同じ景色だよ。夕日が沈んで行く時、富士山が見える時。普通だ。会う人も普通だ。変わらない。」

―――「認知症になっても、見える景色は変わらない。」
認知症を研究し、なおかつ自身が認知症になった先生がおっしゃる言葉。
それに間違いはないのかもしれませんし、比較的症状の軽い今だからこそ言えるのかもしれません。
どちらにせよ、“老いていく自分”と“医師としての自分”で揺れ動く先生の言葉は、深く心に刺さりました。

この先取り巻く状況が変わっても祖母の目から見える景色は、きっと変わりません。
もしかしたらこの先、忘れたことすら分からなくなる日が来るのかもしれません。
それでも私は祖母と一緒に過ごす時間を大切にしたいと思います。

最後に、、

みなさんは認知症について深く考えたことがありますか?
私は由寿会での様々な認知症に対する取り組みに携わっていたにも関わらず、そこまで深く考えたことはありませんでした。

大切であることは頭で分かっていても、心のどこかでまだ先の話だと他人事のように思っていたのかもしれません。
しかし現在65歳以上の7人に1人は認知症と推定されており、2025年には5人に1人が発症するとされ誰もが考えるべき問題となっています。
住み慣れた地域で「この人は認知症だ。」と気付いて適切な手助けをし、地域全体で見守ることが本当に必要な時代です。

先述した通り、由寿会では認知症に対する様々な取り組みを行っています。
2月20日(木)には、第二回文化講演会「支える側が支えられる時」が開催されます。
認知症のお母様の介護体験をもとに詩人として介護者として、支える側が支えられる時を語っていただける心温まる講演会だそうです。
私もぜひ聞きに行きたいと思っています。

詳しくは石川センター長のブログをご覧ください。

心がほわっとする記事がたくさんです。

ブログはこちら🍀

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

本部企画室 林

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